オタクの虚妄奇譚

実在の人物、団体とは一切関係ありません。

伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)

第1回目は私をジャニーズの沼に突き落としてくれて、生まれて初めて好きすぎて苦しいという感情を教えてくれたいのおくん。

いのおくんはきれいだ。
まっしろでもちもちで、伏せた目の柔らかさがとても好き。
長く細い指がとても好き。



いのおくんには私の恋心を知っててほしい。
でも振り向かないで。
バイト先の先輩かな、白いシャツを着るようなおしゃれなイタリアンとかカフェがいいけど、個人的にいのおくんには定食屋さんでバイトしてて欲しい。
きっと塩鯖と白米が美味しい。毎日お釜で炊いてる、そんなお店。
Tシャツと黒パンに少し褪せた青いサロンエプロン(であってる分からない)してるの。
なんならやよい軒とかでもいいや。

いのーさんは大学院の1年生で、私は大学1年で、初めてのバイトであたふたしてる中で、ケタケタ肩を揺らしながら私の焦り具合を笑ってて欲しい。
笑ってて全然手伝ってくれないし、効率よくサボってるくせに、重いもの運ぶときとか、変なお客さんに絡まれたときはどこからともなく現れて、さも当然みたいな顔して助けてくれる。
「ありがとうございました」って言っても「ほぇ?」みたいな素っ頓狂な声を出す。
だって彼にとってそれは特別じゃないから。お礼言われるようなことなんてなんにもしてないの、いのーさんの中で。
だからなんで私にお礼言われたから分からずに夜寝る前、そういえばなんであの子お礼言ったんだろー変な子だなーって思っててほしい。
寝る前に私のこと思い出すとか恋じゃんけっこん。

普段はLINEで「いのーさん」って呼んでるくせに、その日からちゃんと「いのおさん」って打つよね。
漢字でもいいんだけど「いのおさん(くん)」っていう5文字はすごく柔らかくて優しくて、いのおくん本人みたいで好きなのであえて平仮名でいきます。

あと個人的にいのおさんには女の子を呼び捨てしないでほしい。
ケタケタ笑いながら楽しそうに
「○○ちゃんさー、」
って、クッソどうでもいい話をバタバタしてるときにしてほしい。そんでちょっとイラつきたい。
「いのおさん💢うるさいはたらけ💢」みたいな。
まぁでも実際のいのおさんは結構空気読むタイプで、読まないフリ読めないフリがうまい人だと思ってるので、多分混雑時はそれなりにちゃんと働いてくれる。

そんないのおさんへの恋が加速するのは、ある飲み会の帰り。
大学1年生、ぴっちぴちの未成年の私は早めに帰ります。
みんなが盛り上がってる中で帰るのは寂しいなぁと思いながら駅までとぼとぼ歩いてると、後ろからたったったっと軽快な音が聞こえます。
振り返るとそこには、少し頬を赤く染めたいのおさんが。
「どうしたんですか?」って聞いたら
「んー、飲みすぎたからねぇ」って笑うだけ。

少し上がった肩も、寒さとアルコールで赤い鼻と耳も、溶けていく白い息も、きゅうっと胸を締め付ける。
駅まで多分10分くらい。時間は10時前後かな、それなりに人通りもある道を特に会話もなくてくてく。
向かいから歩いてきた酔っ払いや強引なキャッチがいると、シレッと腕を引っ張ります。
そんでいつのまにか車道側を歩いてくれる。
駅について、自販機でコーヒーとミルクティかって、どっちがいいか聞いたら、いのおさんミルクティ選ぶもんだから「可愛い〜」ってちょっといじりたい。
駅のベンチに座って、電車が来るまでの5分くらい話したい。
くだらないことでいい、いや、くだらないことがいい。
いのおさんがいつもいくコンビニの店員さんがモヒカンだとか、うちの隣の家の犬が眉毛のとこだけ毛色が違うとか、そんな面白いのか面白くないのかよくわかんないラインの話。多分面白くない。

お酒のせいでいつもよりまったりもっちりした喋り方なの可愛いよね。
あっという間に電車が来て「ありがとうございました」って言ったら、気を付けてねって、またねって、手を振ってくれる。
家着いたらちゃんと連絡してって言ってくれる。
改札入って、ホームに向かうとき振り返ってもまだ振ってくれてる。
すきになるしかないじゃん、そんなの。
多分、電車が無事に出るまで駅にいるし、家つきましたってLINEしたら可愛い動くタイプのスタンプくれる。
すき。
お風呂上がって携帯見たら、
《いのおがスタンプを送信しました》
って表示されててほしいな!!!
いのおさんのLINEの登録名、《いのお》ってひらがな表記の名字であってくれ。
その日撮った写真を見返しながら、あぁ好きだなぁって思ってaikoとか聴きたい。かばんとか。んで足バタバタさせて、柄にもなく枕元のダッ○ィー抱きしめたりなんかして。


そのあとからバイトが楽しくて仕方なくて、頑張って話しかけて、それなりに仲良くなる。
肩や腕に無遠慮に、だけど優しくぽんと触れる手に期待をしてしまう。
血液型も、猫派なのか犬派なのかも、好きなお寿司のネタも全部知ってるし、話し出すと止まらない建築物の話もいのおさんから聞けるなら楽しいのに、こないだ休憩中に電話してた人のことはどうしても聞けない。
優しく笑ってて、話し方だって誰が聞いたってわかるくらい熱を帯びて、愛を含んで。
あー彼女いたんだーって思ってたら、同じバイト仲間の髙木さんに「いのーくん合コン行かない?彼女いないっしょ?」って誘われてて「いないけどぉうぅん、いいや」と断ってるいのおさん見て、私と同じで誰かに振り向いて欲しくてしょうがないんだって知りたい。

いのおさんが好きそうな展覧会に誘って帰りに、
好きです
って、ただ4文字だけ伝える。
またケタケタ笑って、「えーっへっへっへぇ」って、でもどこか切なそうに、あの独特の声がもっと柔らかく、「ごめんね」と言われたい。
3月の終わりくらいがいいな、出会ってもう直ぐ一年。
視界の端に、ライトアップされた桜並木が見えるような。
その日は帰ってめちゃくちゃ泣く、わかりきってた結末なのに全然泣く。
二時頃聴く。聴きまくる。ありがとう、サブスク解禁。

次の日、泣きはらした目にコンタクト入らなくて眼鏡でバイトに行くと、いのおさんは「○○ちゃん眼鏡じゃーんww」っていじられたい。
誰のせいだよ💢💢ってキッと睨むと、眼鏡取られて「キッツww」って勝手に眼鏡かけて髙木さんと遊んでる💢
本当に普通なの。
何にも無かったみたいに優しいし、ケタケタ笑うし、もりもり食べてるし。
あぁ夢だったのかな、本当は私は告白なんてしてなくて、本当は私といのおさんはまだ、ただのバイト仲間のままなのかなって勘違いしそうになる。
だけどいのおさんの手が私に触れることはもう決してない。
あんなに不躾に触れてた手が、一切触れてこなくなる。

休憩中に、また電話してるいのおさん見かけて、電話越しなのにあんなに優しい顔、あんなに優しい声。私は知らない。
多分、私とは全然違うタイプ。
いのおさんと同い年で同じ院の研究室に在籍してて、ふわふわの黒髪は綺麗に巻かれて、真っ白な肌と、長い睫毛が目を伏せれば影を落とすような、そんなひと。

ある日バイトに勤しむ(サボり魔)いのおさんを友人3人とからかい半分で遊びにきた時に髙木さんと仲良くなって、髙木さんとの仲をいのおさんに取り持ってもらうの。
その人をいのおさんが好きってことは見てわかるくらいだったのに、髙木さんは気付かない(でいてくれ)。
1〜2ヶ月後にはきっとその人と髙木さんは付き合う。
あー、無理。
片想いの辛さも、振り向いてもらえないもどかしさも知ってるから、いのおさんは私に期待させないようにするし、だからと言って無碍にはしない。
きっと辛いと知ってるから。
だけどいのおさんの想い人と髙木さんが付き合い始めた日、バイト終わりにいのおさんに食事に誘われます。
食事っていうかラーメンとか。
カウンターで隣に座って、いのおさんはチャーシュー麺、私は鶏塩ラーメン。
いのおさん、なにも言いません。
失恋したことも、髙木さんへの恨みというか弱音みたいなのもぜんぜん。
私のほうが辛くなっちゃって、煮卵と鶏チャーシューあげちゃう。
そしたらいのおさん、ありがとうって小さく笑います。
「ごめん、こんな時だけ利用して」って。
ぎゅうっと、いのおさんを好きになったあの夜とは違う痛みを私の胸は知るけど、どうしようもないのでただ首を振るだけしかできない。
大きく振る。
違うよって、大丈夫だよって、言いたくてもいえないから。
だって正直思っちゃうもん。
友達の立場に甘んじて動かなかったのはいのおさんじゃんって。
でもそれを願ってた自分がいるのも事実。
いのおさんはきっと味を感じないであろうラーメンが、私にはやけに美味しく感じて、自分の狡さを知る夏。

次の日からはいのおさんまた普通で、髙木さんをいじってる。
「あ〜俺も彼女ほしいな〜」ってケタケタ笑ういのおさんに髙木さんは「○○ちゃんは?」と私を勧めます。
多分髙木さんは最近私の恋心を知ったんだと思う。
すごいドヤ顔で私を見つめます。やっべえ俺キューピットじゃん…!という自信が漲ってます。

いや、遅えわ黙れ💢💢ごめんね髙木くん大好きだよ

それを聞いていのおさんは
「もうちょっとこう、、ぼんきゅっぼんなのが…」
とケタケタ笑うので肩パン💢💢💢
「おにーさんたち働いてください💢」とぷりぷり怒る私を見て2人は「う○こ」というワードを与えられた小2男子のように笑っててくれ。

そして近いうちにいのおさんはバイトを辞めます。
就活だとか、院の研究がどーのこーので。詳しくは分かんないから適当ですすいません。
バイト最後の日、いのおさんミルクティくれます。
あの時本当はミルクティ飲みたかったんでしょって。
俺コーヒー飲めないからさぁってまた笑うの。
いや、私コーヒー飲めるんで大丈夫ですよっていったら、いのおさんは大人じゃーんって俯きがちに笑う。
裏口の外の階段に並んで座ってまだ温かいミルクティを、蓋を軽く開けて手渡してくれる。
あぁ好きだなぁって、いつまで、どれだけ、この人を好きになるんだろうって、望みのない恋を続けさせられる。
何にも会話はなくて、表の通りを走る車の音とか、夕飯の買い物ついでに話し込むおばちゃんたちの声がやけに響く。
秋の夕暮れ、少し肌寒くて、ミルクティを握る手と、狭い階段で触れそうな右肩だけが熱い。
「好きですよ、今でもずっと。いのおさんが、好きです」
って、振り絞って言ったら
見る目ないねぇ
っていつもみたく笑って、自分の頭わしゃわしゃかきながら店に戻っていくいのおさんの背中見てまた泣く。

大きな鞄にもこの胸にも収まらないんじゃない?
恥ずかしい程考えている あなたのこと
あの日から ずっとあなたの事が好きだったんだよ

かばん aiko 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索


っていう歌詞がやたらと胸に響く。
あの日からずっとあなたの事が好きだったんだよ( ; ; )

その日の夜はいのおさんの送別会です。
中心でケラケラ笑って、髙木さんに肩を組まれてる。
伊野尾くん結構お酒強いみたいなので、あの可愛いお顔で芋焼酎ロックで飲んでてほしい。
私も成人してお酒飲めるようになってるので、端っこでカルピスサワーとか飲んでる。
少しやけになってるから、ぐびぐび飲む。
だけどそんなに強くはないから途中で頭がぐるぐるする。
それに気付いたいのおさんが店から連れ出して、夜風にあたらせてくれる。恋。
お酒入ってるから感情のブレーキ効かなくて、泣きながら
「どうやったらいのおさんは私を好きになってくれるの?」
って言ったら、ぎゅうっと抱きしめて
ごめん、ごめんね
って、周りから泣いてるのが見えないようにしてくれる。
胸をドンって叩いても、その手を優しくあの綺麗な手で包んでくれる。
10分くらいして私も落ち着いて2人で戻ったら、髙木さんが茶化す。
え〜なにふたり〜あやしいじゃ〜ん
ってニヤニヤ。

だから黙れ💢💢💢💢ごめんね髙木くん大好きだよ(2回目)

いのおさんは肩揺らして笑ってシレッと隣座る。
んで私がお酒頼もうとしたら、こっちにしときなって、長い指でソフドリの欄をトントンする。恋。
帰りはまた駅まで送ってくれて、電車が来るまで待っててくれる。恋。
改札入る時、頑張れよって頭わしゃわしゃされる。
いのおさんがいつだって私に優しいのも、突き放さないのも「妹」ポジだから。
今までみたいに会えなくなるのも、もう連絡する理由がなくなることにも気付いて、電車の中で泣きたい。
ウワァ〜〜〜〜〜〜〜

まぁ連絡くるんですけどね。ふつうに。
バイトどう?とか、彼氏できた?とか。
たまに路地裏の猫とか、よく分かんないおもしろ画像みたいなのとか。
月に2〜3回くらい連絡取り合う感じ。
たまーに、店にもご飯食べにくる。

半年くらいして大学の友達に告白されて私に彼氏ができたときは喜んでくれます。

何年かして、髙木さん結婚します。例の方と。
髙木さんはバ先の正社員なので、私が卒業するまでお世話になってて、結婚式にも呼んでくれます。
そこでいのおさんと私が大学卒業以来久しぶりに再会するんですけど
「きれいになったねえ」
って、優しく笑ってくれます。
もう気持ちは無いけど、その優しいふわふわの喋り方とか仕草に、あぁこの人のことめちゃくちゃ好きだったなぁって思い出すの。
報われないけど、初めて本気で人を好きになったいい思い出として、一生心に秘めて生きていきたい。

ちなみに私に告白してくれた大学の友達は塩麹より向井康二( ; ; )
私がいのおさんとのこと相談してたけど、いつも泣くから
「そんな泣かせるようなやつより、オレにしといたらええんちゃう?
オレ、そんなんせえへんし、さ…どう?」
って言ってほしい。関西弁わからん。




なげーな!おい!

6000文字!

なにが言いたいかというと、伊野尾くんはとってもすてき。
次は誰を書こうかな。