オタクの虚妄奇譚

実在の人物、団体とは一切関係ありません。

Maybe 阿部亮平.深澤辰哉

maybeに殺された亡霊オタクです。




元々めちゃくちゃ好きな曲で、よく聴いてたのでコンマ2秒で虚妄が駆け巡ってしまう。

私は作者じゃないからこそ、解釈の正解はないし、意味の取り方も多種多様だと思うのですが
私は昔恋愛で傷付いて、もう恋をしないと思ってたけど『君』と出会って、また恋に落ちて…っていうイメージです。

思い出す 刺激と感覚
阿部くんはひどく胸が焼かれるような鮮烈な衝動、所謂刺激。
深澤さんはじんわりと冷えた芯が暖められて解される、そんな感覚。
の、イメージ。



私が『君』になるのなら、阿部くんの心に傷を残し、深澤さんの心を溶かしたい。
彼らが『君』になるのなら、深澤さんで傷を負い、阿部くんに溶かされたい。

虚妄しやすいのは、傷を負い溶かされていく。
傷を残すのは、そんないい女じゃないので思い浮かばない。脳が2gしかないから。





1.

阿部くんはバ先の先輩。
私より2年早く、大人になっていく。

社会人2年目の阿部くんは仕事にも少しずつ慣れて忙しない毎日を送る。
私は浮ついた気分がどうしても抜けない学生。
少しずつ、少しずつ、すれ違いが生まれ始めた頃。

18時過ぎに掛けた電話はつながらず、22時過ぎに
《電話出れなくてごめん、何かあった?》
そんなメッセージが届く。
何かなくちゃ電話しちゃダメなの?
少しだけでもかけ直す時間もないの?
そんな不満が自分の中で募っていって、少しずつ熱が覚めていくのを感じ始める。

久しぶりに会った暑い夏の日、非喫煙者の阿部くんから少し苦い煙草と、遠くに甘い香水の香りを感じ

「亮平くんは本当に私のこと好きなの?」

そんな、言いたくない台詞が思わず口をついて出てしまう。
小さくため息をついた阿部くんの顔は曇っていて、あぁもうこの人の気持ちはわたしには戻らないんだと気付く。
「忙しい」だなんて、言い訳にしかならなくて、会いたい気持ちが私へ対してあればきっと会えたはず。
今とは違う、優しい目で私を見つめてくれていたとき、会いたいだなんて言わなくても、電話越しの少し落ちた声に気付いて会いに来てくれた。
会う時間がないんじゃなくて、会うほどの情熱がもう、彼の中にはないのだと知らされる。
冷たいレモンティーの氷がひとつ、溶けていく。

「亮平くん、今までありがとうね」

どんな罵詈雑言をぶつけてやろうか、ドラマみたいにコーヒーでもかけてやろうか、そんなことを考えたって泣くのを我慢するので必死で、だけど今にも涙は溢れそうで、だけどやっぱりあなたの前じゃ泣きたくない。
もう二度と、涙を拭って抱きしめてはくれないから。
だからせめて笑って、傷付いてないふりをして、私の方から阿部くんのもとを去りたい。
声を震わす私を、あなたが好きなワンピースを着て背を向けて帰る私を見ても何も思わない。

こんな時思い出す事じゃないとは思うんだけど
一人にしないよってあれ実は嬉しかったよ
あなたが勇気を出して初めて電話をくれた
あの夜の私と何が違うんだろう


こんなに辛いのならもうきっと、恋なんてできない。






上司の深澤さんは、仕事もできるし優しくて尊敬できる人。
この日も残って仕事を手伝ってくれてる。

「深澤さんすみません、私のせいで深澤さんまで残業で…」

「いいのいいの、1人でこの量無理でしょ
部長もひどいよなぁ、終わる直前に押し付けて」

「ありがとうございます
正直めちゃくちゃ助かります」

「どういたしましてー笑
そういえばさぁ」

「はい」

「○○さんの同期の**さん達、今日合コンだって言ってたけど○○さんいかなくてよかったの?」

「あー…はい、私は…」

「…そっか、まぁそんなときもあるよなぁ」

少し掠れた、優しい声でそう言ってくれる深澤さん。
大人なのであれこれ聞いてこない。
2年前の夏、別れたあの人が残した傷が今も癒えないまま臆病になって、気持ちに蓋をして、あの頃のあの人と同じ歳になってしまった。

「ちょっと休憩しよっか」

深澤さんが自販機の温かいレモンティーを差し入れしてくれる。

「ありがとうございます」

「いーえ」

ぱきっと音を立ててキャップを開けると、甘いレモンティーが香る。

「あの、さ」

「はい」

「さっきごめんね?」

「えっ?」

「合コンの話
ちょっとデリカシーなかったなって」

「あ…いえ、お気になさらずに」

「…あ」

深澤さんの声に顔を上げると優しく笑って、ココアを片手に窓の外を指さす。
向かいのビルに照らされたそこには、ちらちらと白い雪。

「寒いねぇ」

「寒いですねぇ」

「もう8時すぎてるわ、ごめんね
女の子こんな時間まで残しちゃって」

「いえ、私こそすみません
私のせいで深澤さんまで残業で」

「いいのいいの
腹減ったね、ご飯行かない?」

「はい」

絶対奢ってくれます。女の子にお金出させるわけないでしょーわら❗️のふっかさん。しかもめちゃくちゃ美味しい穴場なお店。さすが爆モテふっかさん。

お酒もそこそこ飲んで少しふらつく私に深澤さんが聞く。

「大丈夫?ちゃんと帰れる?」

「大丈夫です」

「○○さんいっつも大丈夫とかすみませんっていうけどいいんだよ、そんなん言わなくて」

「え?」

「大丈夫だから、もっと周りに甘えなね」

何もいえずに俯く私に、くすっと小さく笑って

「ん、返事は?」

「…はい」

「よし、じゃあ気をつけて帰ってね
家着いたら遅くてもいいから連絡して」

「分かりました、今日はありがとうございました」

「ん、俺も付き合ってくれてありがとね
おやすみ」

「おやすみなさい」

私を見送るために、違う路線の深澤さんはわざわざ1本電車を遅らせる。ドアが閉まる瞬間、手を振ってくれる。
頭を下げる私に微笑んでくれる。
顔が熱いのは、アルコールのせいなのか、それとも。

家に着いて「ありがとうございました」と連絡すると、すぐに既読になってちょっと微妙なスタンプが送られてくる。

《今日楽しかったよ
寒いからちゃんとあったかくすること!
また明日ね、おやすみ》

ふんわり優しく、少し低めの掠れた声で言ってくれたおやすみが、まだ頭に残る。
思い出す鼓動の間隔。
じんわりと、熱を帯び、溶けていく。






2.

深澤さんには好きな人がいる。
深澤さんより少し年上の大人の女の人で、わたしよりずっと大人な人。旦那さんのいる人。つまり、絶対に深澤さんのものにならない人。

その人は気紛れに深澤さんを呼ぶ。夜中でも、雨の日でも、深澤さんは何もかも放り出して、指を冷やし、息を切らし、すぐ会いにいく。


その人の心が自分のものにならないことも、夜が明ければ一緒にいれないことも、全て受け入れて、飲み込んで、それでも会いにいく。好きだという気持ち一つで。

「○○さん」

「ん?」

「好きだよ」

「ありがとう」

決して好きとは返してくれないその人に、愛を注ぐ。
そんな深澤さんに片想いをして、もうどれくらい経っただろうか。
あの人が愛する人と過ごす頃、深澤さんは私を呼ぶ。

「ごめんな」

そうぽつり呟いて、私とあの人を重ねながら、私を抱く。
ズルズルと続く関係を、自分から終わらせることはできない。好きだから。わたしは深澤さんを、深澤さんはあの人を。
こっちを向いてくれなくても、触れられてる時ですら自分を見てくれなくても、好きだから。
振り向かない人へ、私も深澤さんも同じように想いを寄せて、同じように走る。

「深澤さん」

「ん?」

「わたしのとこおいでよ
そしたら絶対、こんな顔させないのに
絶対、深澤さん以外見ないのに」

「かっけーな、○○は
おれそんなん言えねーわ」

そう言って、私の頬を優しく撫でる。
そんなふうにしてくれても、私のとこへはきっと来ない。
私の隣で寝息を立てていても、あの人から連絡が来れば走っていく。振り返ることなく、私の元を去っていく。
1人残された部屋で、彼の連絡先を消す。
月が滲む夜に見た最後のあなたは、愛しい人のもとへ急ぐ背中。





バイト先の阿部さんは優しい。
いつも重いものを持ってくれて、困ったり焦ってたらカバーしてくれて、落ち込んでたらジュースを奢ってくれる。
優しくて、優しくて、わたしなんかがきっと、近くにいちゃいけない。

「○○さん」

「あ、阿部さんお疲れ様です」

「お疲れ様
元気ないね、なんかあった?」

そう言って非常扉の外でしゃがんでる私の隣にしゃがむ阿部さん。

「あっ、、いや、、」

「、、あの人?」

少し前、深澤さんがあの人の元へ走って行ったあと、泣きながら街を歩いてる時にばったりと阿部さんと会ってしまった。
それ以来、阿部さんはすごく心配してくれている。

「大丈夫?」

「大丈夫です
もう、連絡しないって決めたんです」

「なんかあったの?」

「いつまでも苦しいのは嫌です
でも、もう何も望めないから」

「好きなんだね、その人のこと」

「なんでこんなに好きなんだろう」

「、、俺に向けた言葉ならいいのに」

「えっ?」

「俺だったら、泣かせないし、辛い思いさせないし、1人にしないのにな」

薄々勘づいていた好意を言葉にする阿部さん。
優しくて、優しくて、もっとずっと素敵な人と素敵な恋が出来る人なのに、私なんかじゃダメなのに。
今の今まではっきりと断れないのは、あまりにも優しく笑うから。

「ごめんね、困らせて
好きだよ、○○さんのこと
少しずつでいいから、俺の方向いてもらえないかな」

冷たい風に晒されて冷えた頬に、阿部さんの温かい手が触れる。花束に触れるように優しく、涙を拭ってくれる。

いつも別の人を重ねる深澤さんとは違う、熱を帯びた手と声。胸の奥に刺さった棘がゆっくりと消えていく。

「どこにも行かない?」

「行かない」

「私だけ?」

「○○さんだけだよ」

「ずっと?」

「うん、ずっと」

誰よりもそばにいるよ 心配ないさ
泣き虫な君だから 守り続けたいよ










いや、違う曲の歌詞入れないでください。

これ書き始めたの12/12なのに今日1/12なのウケる。遅筆にも程があるだろ。
いちごみるくが歌うmaybeも、あべふかが歌うmaybeも、本家様のmaybeも、全部同じ曲のはずなのに、全部違って聞こえるのすごい。

はあァァァァァァァ!!!!!!!!結婚😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😩😠😩😠😠😩😩😩😩😩😩😩😩😩😘😩😩😩🙁🙁🙁☹️🙁🙁🙁☹️😞🙁😩☹️☹️☹️🙁🙁🙁😩😩😩😔

合コンの話は実話です。
相手女上司やけどな。